ファッション用語事典

ステンカラーコート Stand Fall Collar

ステンカラーコートとは、コンバーティブルカラーコートの一種で、第一ボタンを開いた開襟の状態でも、閉じた襟の状態でも着用できる二重襟を特徴としたコートのことである。
ステンカラーとはそもそも和製英語であり、ステンカラーのステンはスタンドが訛ったものと考えられている。
このステンカラーの正しい呼称は、真直ぐに落ちたような襟という意の、「スタンド・フォール・カラー」、または、衿腰から折り返った襟を意味する、「ターン・オーバー・カラーなどど呼ばれ、ラグラン・スリープ、フライフロント仕立てで、膝丈の長さのものが多い。

従来、ステンカラーコートと言えば、膝丈の着丈の、Aラインでたっぷりとした、身頃幅のあるものが多かった。
しかし、2003年、マッキントッシュが代表作の「ダンカン」により現代的な解釈を加え、モダンでシャープなシルエットに仕上げた「ダンケルド」を発表し、これが爆発的なヒットとなった。
それ以後、ダンケルドにインスパイアされた他の多くのメーカーが、それまでのステンカラーコートとは異なった、ソフィスティケートされたコートを多数発表している。

現在のモダンなステンカラーコートは、着丈や身頃が大幅に削られ、Aラインと言うよりかは、Iラインに近いものが多い。
着丈はライトでソリッドな印象を与える腿丈までのものが主流になりつつある。
後身頃にベルトを取り付け、ベルトを腰より上の位置に持ってくることで、脚を長く見せ、全身のシルエットをスタイリッシュに見せる効果がある。
真冬のシーズンには、ステンカラーコートは不向きとされていた。
だが、現在では、取り外し可能なキルティングやウールのライニングを取り付けた春秋冬の3シーズン対応可能なコート、表地をコットンとウールやカシミア素材を混紡したタイプ、コートの表地に季節感のある千鳥格子やタータンチェックを採用したイプなど、様々なバリエーションが存在する。
更にジャケット代わりにも使える着丈の短いタイプのジャケットコートのようなタイプのコートも人気を博している。
オンの時には、スーツやジャケットの上から、休日のオフにはシャツの上から羽織ってもスタイルが崩れず、肩口からコートの裾まで流れるようなラインを描き、よりシャープにスタイルを仕上げる。
温暖化や都心回帰といった昨今の事情により、ステンカラーコートは、現在最もポピュラーなアウターとして人気を博している。

ステンカラーコート/Stand Fall Collar