ファッション用語事典

カーゴパンツ – Cargo Pants

カーゴパンツは元々、戦闘服や狩猟などの本格的なアウトドア用として開発されたパンツのことである。
パンツの両サイドには、陸軍兵士たちが戦闘活動に用いる為の、地図やコンパスなどを入れる大型のアコーディオンポケットが貼り付けられている。
また、臀部にもポケットが機能的に配置されている。
動き易さを重視する為に、腰回りは比較的ゆったりと、裾は細く絞られているのが特徴的。
素材には丈夫で速乾性の高い厚手の生地が使われている。
しっかりとした縫い目と大きなベルトループ、幾つものポケットが備わっている。

1990年代初頭以降、カーゴパンツを履いたスタイルはミリタリールックと呼ばれ、タウンユースとしても使える丈夫さと手軽さや、その存在が脚光を浴び始めた。
米「レスキュー・スポーツウェア」社が、アパレル商品として初めてカーゴパンツの供給を開始。
次いで「Z.Cavaricci」、「Generra」、「Bugle Boy」などがミリタリーアイテムではない、ファッションとしてのカーゴパンツを市場に投入し、カーゴパンツをファッションに定着させていった。

カーゴパンツはその出自が土臭いものであることから、長年クラシックの世界からは敬遠されてきたアイテムの1つであった。
しかし近年、ファッション界全体のドレスとカジュアルの融合が進む中で、ミリタリー出のカーゴパンツに俄然注目が集まっている。
インコテックスやGTA、PT01といった名立たるイタリアンクラシックのブランドが、こぞってピッティの出展ブースで、自社のテーラリング技術の良さを存分に生かしたカーゴパンツを発表したのだ。
従来の厚手のコットン生地ではなく、上質なシェパードチェックのウールやペンシルストライプ柄のフランネルなどを用いて、イタリア人らしいドレスコンシャスの雰囲気を適度に盛り込んでいる。
そのシルエットは従来のカーゴパンツとは全く異なり、渡りから裾に掛けてテーパードし、臀部回りもすっきりとしたコンパクトな仕上がりとなっている。
正に大人の男性が履くに相応しいパンツになったと言える。