ファッション用語事典

N-1 N-1

N-1、通称“デッキジャケット”と呼ばれるこのジャケットは、第2次世界大戦後期から朝鮮戦争にかけて、強風と冷気に晒されるアメリカ海軍艦艇のクルー達のために艦上防寒着として用いられていた。
日本人に馴染み深いノルマンディーでも、実際に米国海軍のクルー達が、彼らの愛称ともなっている「ネイビー」の文字通り、ネイビー色のN-1を着用している。

オリジナルのNー1の表地には、マリーナ達を冷たく激しい海風や摂氏零度以下の極寒から守る為のあらゆる防寒スペックが施されている。
表地には、通称“Jungle Cloth”と呼ばれるコットングログランが使用され、裏地には遮風性と保温性に優れたアルパカモヘアが備え付けられている。
袖口内側にニットリブを装備し、襟には襟立てが出来るようにチンストラップが付く。

現代のマリンスタイルの復活と、ラギッドなスタイルにマッチしたN-1は、そのシンプルで美しいデザインが再び人気を博している。
表地のメルトンのネイビー色は、一見するとかわいくなりがちだが、襟元とインナーのボアが絶妙なアクセントとなり男臭さを演出する。
素材には、オリジナルのコットングログランの他に、通常のコットンやウールなどの素材や、それらの生地を混紡したものが用いられている。
デザインもシンプルで伝統的なスタイルを受け継いだものから、現代的なシルエットにアップデートしたものまで幅広くある。

N-1のシンプルながらも無骨なスタイルは、アメカジスタイルやアメリカンワークスタイルといった、N-1のルーツでもあるアメリカに根差したスタイルに最もよくマッチする。
控えめな色遣いのネルシャツやトラディショナルなバッファローチェックのシャツに、太すぎず細すぎない中庸なシルエットで、すっきりとした印象が特徴的なリジッドデニムや程良く色落ちしたデニムを組み合わせ、足元もアメリカンスタイルには欠かせないワークブーツなどを合わせる事で現代的なアメカジスタイルが完成する。
或いは、清潔感のある白シャツにクロップドパンツを合わせ、足元には無骨なワークブーツやレースアップブーツを履く事でクリーンなイメージのアメリカンワークスタイルが完成する。
ミリタリーとしての出自から、泥臭いイメージのあるN-1であるが、こうしたスタイルに取り入れる事で、アイテム本来の持つ野暮なイメージが薄まり、非常に洗練されたシャープなスタイルとして完成する。

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