ファッション用語事典

フランネル Flannel

フランネル( flannel)は縦糸と横糸を1本ずつ交差させる平織や2-3本おきに交互に織られる綾織りにしたあと、その生地を軽く圧縮してから、最後に起毛させた素材のこと。
柔らかく弾力性があって保温性が高く、霜降り感があり、見た目は軽やかだが、品の良いのが特徴。
見た目にはソフトで暖かそうな印象を与える。
フラノの服は英国やイタリアでは紡毛と呼ばれる、長さ1~5cmのウールの毛ものが一般的だが、日本製のフラノは長さ5cm以上の梳毛と呼ばれるウールの毛のものが一般的。
当初、フランネルは梳毛糸から作られたが、20世紀以降、シルクや、コットンが混紡されるようになった。

フランネルという語の語源は定かではない。
しかし、フランネルに似た生地が16世紀初頭のウェールズに求めることができるので、ウェールズを起源とする説が強い。
フランスで“flanelle”という単語が17世紀後半に使われており、ドイツでは同様に“Flanell”が18世紀初頭に使われていた。
フランネルそのものは、17世紀頃より作られており、その一部はコットン生地やフリースとなった。
19世紀にはフランネルはウェールズの、ポーイス州のニュートンやモンテゴメリーシェアといった街で盛んに作られるようになった。
その生産の拡大はカーディング(梳綿と呼ばれる採取したコットンやウールを櫛で均して、綿状の塊にする作業をこう呼ぶ)工場の広がりと密接な関係がある。
これらのウェールズの毛織物産業の拡大戦略は、主にシュローズベリーの服地商人たちによって決められていた。

フランネルは秋冬を代表する季節感豊かな生地である。
フランネルは、元々ハンティングやゴルフなど上流階級の紳士たちがスポーツをする際に着用していた素材で、スポーティー且つドレッシーな服地である。
なので、平織りの少しネップの出たものや、ウールバスケットなど、表面のざらっとした素材の方が、季節感によりマッチする。
シャツの色を白やブルーに限らずに合わせられるのも魅力だ。
タイドアップしても、或いはタートルネックニットなどを合わせてもサマになる、万能な生地である。
著名なフランネのミルは、英国のフォックス ブラザーズのフランネルで、英国らしい質実剛健なハードな生地で、着込むほどに味わいを増す。
そのフォックスと対極を成すのが、伊ビエラのイタリアのカルロ・バルベラのフランネル生地で、イタリア屈指の色柄の出し方が実に美しく、ソフトな風合いが魅力的。
また、しなやかさと滑らかなタッチに、コシも備わっていてる。

フランネルは秋冬を代表する生地である事から、ジャケットやコートなどの重衣料をはじめ、シャツやパンツ、カジュアルなバッグなどにも用いられている。

フランネル/Flannel