ジョンストンズ Johnstons
2011/12/28
ヒストリー
1797年創業以来、高級素材を使った製品を手がける。
ジョンストンズ社は1797年にスコットランドの北東に位置するエルガンで創業しました。 200年以上にわたってジョンストン家とハリソン家のファミリーが経営に携わり、カシミヤやビキューナ、メリノウール、ラムズウール、キャメルヘアーなどの高級素材を使った生地、スカーフ、ホームファーニシングなどを作り続けています。 現在でも原毛の厳選から紡績、ウィービング(機織)、ニッティングまで手掛ける、英国でも珍しい一貫生産工場をもつメーカーです。 創業間もない1801年からウールを中心とした手織ビジネスを展開し、1840年代初期には後にジョンストンズの代表的なエステートツイードとして知られるデザインの創作にとりかかります。 1960年代にニットウェアの製造にとりかかり、1970年代後半には、カシミヤニット生産の心臓部といわれるホーイックにも自社工場を持ちました。 ジョンストンズ・オブ・エルガンは、”最高のもののみが全て”という経営理念に基づき、全ての工程に熟練の技術と信頼のおける品質をもって操業しております。 |
ファブリック
CASHIMERE
一般的に世界で最も高級素材とされるカシミヤは、ローマ帝国においてエリート政治指導者のみが着用を許された歴史的にも高く評価された素材です。 また、カシミヤは限られた原料の供給量も高級性を高めています。 毎年春に手作業により櫛でとかれ、カシミヤゴート1頭から約125グラムの下毛が収穫されます。 マフラーを製造すると1頭分、婦人物セーターで2頭分、紳士セーターで3頭分、そしてコートには少なくとも24頭分の下毛が必要となります。 カシミヤゴートの柔らかい繊細な下毛の直径はミクロンにて計測されます。 ジョンストンズは収穫された原毛の状態で購入します。 |
CAMEL HAIR
キャメルヘアーの原毛となるものは、中国、モンゴルからのフタコブラクダです。 カシミヤ同様に毎年春に手作業で梳き取られます。その繊維はカシミヤと類似しており、茶色の濃淡にとんだキャメルヘアー独特なカラーを生み出します。 カシミヤゴートよりはるかに大きいフタコブラクダは原毛を選毛すると1頭から約2キロの製品を作る下毛を収穫することができます。 |
LAMB’S WOOL
羊は肉、乳、皮、羊毛(ウール)の供給を確保するために、4000年以上も前からチャルディー種が家畜として飼育されてきました。 古代エジプト人、バビロニア人、ギリシャ人、そしてヘブライ人は各家庭でウールを手作業で紡績し生地を作り、高い地位の女性でさえも衣類を自身で作りました。 フェニキア人によって紀元前にスペインへ紹介された羊が最も繊細な原毛を持つ羊でした。その後、アジア、アフリカ、ギリシャ、ローマから繊細な原毛を持つ羊の種類がスペインに持ち込まれ様々な血統との掛け合わせにより、最も繊細なウールの元祖とされるスペインメリノ種が生み出されました。 ウールは強く耐久性に優れ、濡れている感覚なしにその重量の60%の水分を含むことが可能です。 また、ウールはとても汎用性に優れ、どの種の原毛を使用するかによって繊細な服地、ニット、マフラー、ラグ、丈夫なカーペットなどへ製品化されます。 |
MERINO WOOL
メリノ種は紀元前500年を遡り、世界で最も古い羊毛種です。 その多くがスペインで飼育され、国王の管理下に置かれ輸出を試みたものは 皆処刑に処されたというように厳しく管理されていました。 スペイン国王が親類や親しいヨーロッパ諸国の国王に贈答したなかに、イギリスの国王ジョージ三世に贈られたメリノ種がありました。 この純粋なメリノ種がニュージーランドに送られ最初の羊群となりました。 ニュージーランドは雪に覆われた山々とともに温暖な気候と豊かな牧草地はメリノ種を飼育するうえで完璧な環境です。 現在も献身的な農場経営者と理想の自然環境により最もピュアで白に近い高品質なメリノウールの原毛を生産しています。 ニュージーランドメリノは極めて繊細で際立った柔軟性も兼ね備えており、一貫した強さを持った完璧な繊維といえます。 ジョンストンズ社は特別な加工知識をもって特別な背景を持ったニュージーランドメリノウールを選択し使用しています。 |
プロダクト
原毛の紡績からニッティングまで一貫生産を行う。
ジョンストンズ社は、創業当時から現在まで原毛から製品までの生産を自社工場で行う一貫生産工場です。 原毛から製品になるまで約30もの異なった工程があります。 糸、マフラー、ストール、ラグは本社であるエルガン工場で、ニットはカシミヤニットの心臓部であるホーウィック工場で生産されています。 |
染色 |
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染色にはトップダイド(原毛を染める)、ヤーンダイド(糸を染める)、ガーメントダイド(製品を染める)の3種類があります。 ジョンストンズ社はどの染色も自社工場内で行うことが可能です。 しかし、特別な場合を除きトップダイドで染色をします。 19世紀後半までは樹皮、果汁、海藻、コケ類、昆虫といった自然物質を使用していました。 自然物質での染色は汗や洗濯による色落ち、光による色やけに弱く、さらに不安定な染料であるため、染色技術者が正確に同じ色を毎回生産することを不可能にしていました。 1850年代に今日使用されている科学染料が開発され、安定した製品を供給することを可能にしました。 染色技術者は様々な色を作り出すために原毛の特性によって染色レシピを用意し不変かつ無限の色彩を生み出しています。 |
紡績 | ||
染色工程で染められた原毛はフェルト状で繊維がもつれ合った状態になっています。 これらをほぐすため、ローラーに釘が打ち付けられた機械で梳くカーディング工程に移ります。 この段階でフェルト状の繊維にその後の工程で扱いやすくするために軽くオイルコーティングをします。 また、この段階で同じ原毛で多色を混ぜた糸や(ミックスチャーカラー)、カシミヤとメリノウールを混ぜる(ブレンドヤーン)などにより異なったタイプの糸を作ります。特にミクスチャーカラーは、スコティッシュテキスタイルの伝統的な特徴といえます。 全てのフェルト状の原毛を撚糸工程のため再度カーディングマシンにかけ、ミュール精紡機で撚られ(スピニング)糸になります。 糸は最終用途によって何度も撚られることもあります。 また、カーディングとスピニングの工程を通し、自動的に品質と形状がチェックされます。 |
織り(マフラー、ストール、ラグ) | ||
生地、マフラー、ストール、ラグの織りは縦糸の配置(縦糸成型装置に巻き取り)から始まります。 縦糸は決められた色柄に基づいて配列され、その本数は糸の繊細さ、密度、あるいは製品の仕上がりによって変えられます。 織機は縦糸に横糸を水平に横切って挿入する作業で、あらかじめ決められた図案に基づいて横糸を配置していきます。 織機は平織り、ジャガード織りなどの色柄により使い分けられます。 |
仕上げ | ||
織りあがった生地はまだ外観が粗く仕上げが必要となります。 まず洗いをかけ、余計な脂分や汚れを取り除きます。 水仕上げの後、生地は決められた幅を保つため幅だし装置で乾燥されながらローラーを通過していきます。 起毛の工程では、カシミヤ以外の製品は非常に軟らかい金属製ブラシによって起毛されます。 カシミヤ製品のみアザミの実を使用したアザミ起毛機が使され、これによりカシミヤ独特な流れるような起毛と、よりしなやかな風合いを出すことができます。 アザミの実を使用する技術は創業当時とまったく変わらぬもので、技術革新が進む現在においてもそれに代わる物は見つけることができません。 その後、カット、最終プレス、たたみ、包装をへて最終検品され倉庫で保管されます。 倉庫に保管されたマフラー、ストール、ラグは出荷直前にオーダーに応じた刺繍やラベル付けの後、顧客に向け出荷されます。 |
編み(ニットウェア) | ||
ニットウェアはカシミヤニットウェア産業の心臓部であるホーウィックの自社工場で生産されます。 全てのニットウェアはエルガンで自社生産された糸を使用しています。 ジョンストンズのカシミヤニットウェアは最高のフィット感を持つように工夫され、裾リブ、袖リブ、前身ごろ、後ろ見ごろ、袖、襟、ストラップなどの各パーツが、異なった専用の機械で必要とされるテンションをもって編まれていきます。 その後、編み上げられた各パーツはワンステッチずつ技術者によりリンキングされ、補強が必要な部分にかんぬき止めのステッチが施され8割完成されたニットウェアになります。 その後、ホーウィックに流れるテビオット川の軟水を使用し慎重に洗われ、不純物や余計な油分を取り除き、カシミヤ特有な柔らかい風合いを出していきます。 最初のプレス工程の後、ボタンホール、ボタン付け、ラベル付けなどの最終工程をへて最終プレス、検品され倉庫に保管されます。 |
ケア
洗濯方法 |
信頼のおけるクリーニング店でのドライクリーニングをお薦めいたします。 染みはできるだけ早くクリーニング店に相談してください。 クリーニング店から戻ってきたものは、染み・汚れ・破れ等がないかチェックを忘れずに行いましょう。 ご家庭での洗濯は、品質を損なう恐れがありますのでお避け下さい。 |
保管方法 |
清潔にしてから保管することが大切です。 収納前は必ず洗濯、クリーニングをし、染みや汚れをきちんと落としてから良く乾燥させてください。 市販の防虫剤を使用し、箪笥やクローゼットは天気の良い日にはたまに開け放して、空気を入れ替えましょう。 クリーニングのビニールは空気が滞留して湿気の原因になりますので、はずしてからしまってください。 |
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デンツ Dents | メンズEX 2012年2月号掲載商品 |