ファッション用語事典

ホーズ Hose

ホーズは、オランダ語で、水を撒くときに使う、「ホース」に由来する。
これは靴下の円筒形が、ホースに似ていたことに由来し、フランス語では「chausses(ショース)」とも言う。

靴下の役割は、主に、1.脚の保護 2.素肌を人目にさらさない 3.素肌を装う 4.靴とともに足元を引き締める、の4点に集約される。
クラシックなホーズは、膝下までの長さを基本としている。
伝統的にヨーロッパ社会、特に上流階級に於いては、素肌を人目に晒すことに対する嫌悪感が強く、マナー違反とさえされていた。
その為、現代のヨーロッパの上流階級やビジネスマン達も、パンツの裾から素肌や脛毛が見え隠れすることを嫌い、上質な生地を使った、膝下まで達する長さの靴下を好んで着用している。
また、「歩く」という行為そのものが、二足歩行をする人間にとっては大きな身体的負担となる。
その為、ふくらはぎをすっぽりと覆い隠し、膝下まで伸びるホーズは、人間の歩行運動を補助し、スムーズな足の運びを可能とする。
単なる装いの為だけでなく、健康面をサポートする為にも欠かせないアイテムなのである。

更にホーズの重要な役割として、靴との相性も欠かせない点である。
現代のパンツは、裾が靴にまで達する為、靴下はほんの少し見え隠れする程度である。
だが、その見えるか見えないかの部分にまで、細心の注意を払うのがダンディズムというものであろう。
見えるか見えないか程度ならいいという考えは禁物である。
靴との調和のために必要な要素は、靴を引き立てる上品さであって、単なる脚の着衣では無いのだ。
最もクラシックとされているホーズは、畝の入った、長さは膝下まで到達する無地色のものである。

昨今では、クラシックの世界に於いても、パンツの裾幅や股下を短くし、裾をロールアップして、敢えて靴下を見せる事で、靴下でのファッションを楽しむ傾向が高まっている。その為、カラーバリエーション豊かなホーズが各ブランドのコレクションで発表されており、また装いを楽しむ人々の間でもファッションをより自由に楽しむ傾向の高まりとともに、カラフルなホーズやデザインに凝ったものを着用したいという要望も高まりつつある。
靴との相性を考慮しつつも、気軽に装いを楽しむアイテムとして、ホーズはますます重要なアイテムとなっている。
イタリアのソッツィやパラディーノ、英国のパンセレラが紳士御用達の靴下メーカーとして知られている。

ホーズ/Hose