ファッション用語事典

チェスターコート Chester Coat

チェスターコートは、オーバーコートの一種で、ディナージャケットの上に唯一着用可能なコートして、フォーマルコートの代表格として知られている。
最礼装のモーニングコートやイブニングコートにも、このチェスターフィールドが適切である。
素材には、紳士に相応しい色合いの黒、もしくはチャコールグレイの、重量感のあるツイード地やヘリンボーンウール、或いは濃紺のカシミア、キャメルヘアーなどが好ましい。デザインは、シングルブレストのノッチドラペルが最もベーシック。
フロントは三つボタンの比翼仕立て、左胸にはウェルトポケットと、フラップ仕様の切りポケット、袖先にはセットインスリーブで三つないし四つボタンが付き、バックは、深く切り込みの入ったセンターベントが美しい男の背中を際立たせる。
フロントダーツを入れ、ウェストは適度にシェイプされたシルエットが男らしさを強調し、イブニングコートやモーニングコートの着丈が、十分に隠れる膝下までの長さであることが特に重要である。

歴史的にチェスターフィールドコートは、ウェストをタイトに締めるフロックコートの代わりとしてデザインされた所以、全体的にシェイプしたシルエットが特徴的だが、後に、少しゆとりのあるデザインが好まれ、黒のオペラハットや白い子ヤギ革の手袋と合わせて燕尾服の上に着られるようになった。
現在、目にすることの多いチェスターフィールドは、いわゆる正統なチェスターフィールドコートではなく、細かいディティールを排したクラシックアウターとして認識されている。
特に現代では、仰々しい厚手のクラシックなチェスターフィールドコートの必要性は殆ど無い事から、比較的ステンカラーコートに近い、軽い仕立てが魅力のスポルベリーノが人気を博している。
素材もウールやキャメル、カシミアのではなく、ウールとシルク、カシミアなどの異素材同士を混紡することで、コートの表地に深いドレープ感や滑らかなタッチ感のある、個性的な味わいのあるコートに仕上げている。

元々の出自がフォーマルであることから、スポルベリーノタイプのコートであっても、重要なビジネスシーンにも問題無く使える。
週末のカジュアルシーンだろうと、ジャケット代わりにニットの上からでも着用出来る。ドレススポーティに着こなせる、汎用性の高い一着である。

チェスターコート/Chester Coat