ブランド事典

エンメ・テ・エンネ Emme te. Enne

ブランド

EmmeとEnneはイタリア語のMとNの発音、そして、MとNの間に置かれたte.はイタリア語のtessuto(生地)を略したものです。
MとNがプレステージの高い生地を通して結びつき、共に魅力的な1枚のシャツをつくりあげるという意味を込めて、Emme te. Enneというブランドを立ち上げました。
Mの由来は、Emme te. Enneのシャツを縫製するシャツ工場Due Emme社の代表者マティルデ・モレッティ (Matilde Moretti)女史のイニシャルです。
Nは、Emme te. Enneの生地の企画を担う並木(Namiki)氏のイニシャルです。

Emme te. Enneの主役となるこの二人の共通点は、シャツとネクタイという異なる専門分野にあって、ファッションという世界を深く愛し、とりわけモノづくりに対する尽きることのない情熱的な探求心を有している点にあります。

マティルデ女史は母親から受け継いだシャツづくりをライフワークとし、以来30年を経た今日でも針と糸を巧みに操り、朝から晩まで工房の第一線で愛情深くシャツを縫い続ける、シャツづくりのエキスパートです。
一方の並木氏は、様々なファッション・パーツの中でネクタイが個性を最も表現し得るアイテムと考え、20年近くもの間ネクタイの企画に従事する中で、無限大に広がるテキスタイル・デザインを日々睨み続けてきました。

そして、色柄の表現という点において、このシャツとネクタイのテキスタイル・デザインは、ジャケットやパンツ、コートといったアイテムのそれとは異なり、極めて自由な表現性を共有しています。

並木氏がシーズンごとにネクタイの生地を企画するために訪れる北イタリアのコモ、ベルガモ、ブレシアの一帯は、シルクのみならず高品質で洗練されたコットン・ファブリックの世界的な生産地であり、ネクタイ工場とシャツ工場が軒を連ね、彼らに素材を供給する多くの機屋はネクタイ地もシャツ地も手掛けています。
また、メイド・イン・イタリーのファッションが世界を席巻する中で、この地で育まれるグラフィック・アーツも世界最高のレベルにまで発展を遂げています。

20年近くもの間、ネクタイの企画のためこの地を訪れる中で、並木氏は高品質なコットン地はもとより、その高いプリント技術にも注目していました。
さらに、スイスやオーストリアの影響を色濃く残す北イタリアの人々の真面目さ、丁寧さ、寛容さが反映されたモノづくりにも惹かれていました。
ネクタイを通じてそんな北イタリアと深く関わってきた並木氏が、自ら培ったデザイン深耕の経験をシャツの世界でも試してみたいと考えるようになった背景は、そんな意味でごく自然な発想でありました。

並木氏はネクタイ地を開発しながらもシャツ向きのデザイン・パターンの研究に情熱を燃やし、いつしか多彩なバリエーションを誇るプリントのシャツ地のコレクションを確立していました。
そして、マティルデ女史率いるDueEmmeという、整理整頓と清潔が基本ルールという環境の中で女性達だけが黙々とシャツを縫い続ける、実に北イタリアらしい工房に出会ったのです。
並木氏が要求する仕様、スタイルを抵抗なく受け入れ、迅速かつ丁寧に仕上げてくる、そんなマティルデ女史の30年にもおよぶ信頼すべき物づくりの姿勢がスタートの決め手となりました。

こうしてEmme te. Enneのシャツ・コレクションは、ネクタイのメッカ、シャツのメッカである北イタリアで、情熱をこめてシャツをつくり続けるマティルデ女史と、ファブリックの企画に情熱を燃やす並木氏の出会いによって誕生しました。
まさにそれは、この両者がスタイルと品質面での価値観を共有して、熱意と献身でもってMade in Italyの創造力を駆使した成果なのです。

Emme te. Enneの特色は、第一に、日常生活の中にあるシャツというアイテムを念頭に、決して奇をてらうことなく、目に優しく美しいファブリックの世界をコモの世界最高水準のプリント技術を背景に実現し、常に新鮮なデザイン・パターンを毎シーズン提案し続けること。
第二に、北イタリアならでは高品質な素材を駆使し、美しいシャツを知り尽くした丁寧なモノづくりによって、決して過度な技巧には頼らずに、自然なボディ・フィッティングと着心地を最優先したソフトでスマートなスタイルを実現すること。

テキスタイル・デザインに限界が来ない限り、シャツというキャンバスに描かれるEmme te. Enneのコレクションは続いていきます。

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