シルクは、蚕の繭からとった天然の繊維で、独特の光沢を持ち、古来より珍重されてきた天然の繊維である。
蚕の繭から抽出された、極細の糸を数本揃えて繰り糸の状態にしたものを生糸ともいう。
1個の繭から約800~1,200mの糸が取れる。
絹の歴史を紐解くと、その生産は紀元前3000年頃の中国で始まった。
一説には黄帝の后・西陵氏が絹と織物の製法を築いたとされ、陸路と海路を経て、インド、ペルシャ方面に輸出されていた。
これがシルクロードの始まりである。
実際に紀元前1000年頃の古代エジプト遺跡から、中国絹の断片が発見されている。
日本にはすでに弥生時代に絹の製法は伝わっており、特に幕末の開国後は、絹が日本の重要な輸出基幹産業の一つとなった。
養蚕・製糸業は明治以降の日本が近代化・殖産興業に於いて欠かすことの出来無いものだったのである。
日本と中国における最初の近代的な製糸工場であった、九州の富岡製糸場と上海の寶昌糸廠にて、フランス人技師のポール・ブリュナーという同一人物によって技術指導が行われていたのは興味深い。
シルクは主にネクタイを始め、シャツ、スーツ、マフラーなど様々なアイテムに使われている。
シルクだけでは耐久性に乏しい為、主にウールやコットンなどと混紡されることが多い。その独特の艶感やシャリ感とも呼ばれるタッチは、高級生地のまさにそれである。
オーダーメイドを専門とするテーラーが仕立てるタキシードやカミチェリア(シャツ屋)が仕立てるシャツのラインナップには、上流階級向けの、100%シルク生地が僅かながら存在する。
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