ブランド事典

ファーロ Faro

ブランド

ファーロ(Faro)は日本で昔から受け継がれる高い伝統技法から生まれる製品、世界に誇れるクオリティーを日本から発信したい、という思いから生み出されたブランドです。 奇抜なデザインや派手な素材でただ目をひくものを作るのではなく、「用の美」と呼ばれる、道具としての機能美を追求し、高度な技もその技術をひけらかすのではなく、あくまでもその機能美の追求のための一つの手段と考えています。

素材には、厳選された原皮を職人の手作業でなめし、染色された最高級のコードバンとカーフを使用しています。
水染めと呼ばれる、職人の勘で何度も繰り返し染める日本の伝統的な技法を用いて透明感のある独特な色を作りだし、その革を0.4mmまでそぐことでしなやかさを生み出しています。
また、その革を2枚張り合わせ、断面は本磨きと呼ばれる塗料を使わない職人の手磨きにて自然な艶がでるように仕上げられることで、実用性を求められる部分にも美しさを失わない、まさに「用の美」に基づく仕上げが施されています。

すべての素材、工程に美しさを追求し仕上げられた製品は、工芸品として飾るものではなく、あくまでも日常生活の中で道具として使うモノです。
ファーロの製品は、職人の持てる技術を余すことなく注ぎ込み、最高級の素材を使い生み出された、実用性と美しさを兼ね備えた革製品です。

コンセプト

その花は、小さな村の、小さなアトリエに咲いています。
もう少し正確に言うなら、花はアトリエにいる熟練した職人たちの手に咲いているのです。
職人たちは誰も、単に商品をつくっているのではありません。
職人たちはモノをつくっているというよりも、やはり手に花を咲かせているのです。
「手に花を咲かせる」ひとびとは、世界の各地にいます。
長い歴史のなかで育まれ、豊かな風土のなかで咲く野の花たち。
わたしたちは、こうした花の美しさを語る責任を負っているのではないかと思います。
花粉を受け、さらに種を蒔き、つぎの世代に伝える責任を負っているのではないかと。
わたしたちは、太古から受け継がれてきた伝統ある素材を駆使し、
職人たちが時を惜しまず、熟練の粋をつくし、静寂な時を刻みながら育まれる花を、大切にしたい。
FARO(ファーロ)は、そんな『小さな一輪の花』が、それに触れるひとの心に光を灯すことを願っています。

FARO PROJECT

レザー

ファーロには2つの製品ラインナップがあります。

フィンカーフシリーズ Fin Calf Series

穏やかな透明感と控えめな上品さを醸し出すフィンカーフシリーズでは、純度の高いタンニンを使用し、フルタンニンで鞣された最高品質のカーフレザーを使用しています。
熟達した職人により、丹念に水性の染料で時間かけてタンニングを施す『水染め』といわれる技法で鞣されています。
近年、この水染めを行うタンナーが減少し続けています。
なぜなら、大量生産が主軸となった工業生産には時間が掛かりすぎて向いておらず、より早く大量に生産できる「合タン」と言われる鞣し技法で行われているからです。

これらは、タンニンに硫酸クロームを混ぜて、タンニン槽ではなく、大型のドラムを用いて鞣す方法です。
仕上げは、一枚一枚丁寧に職人が手で揉み、革の表面に表情をつける『手揉み加工』という伝統的技法によって行われます。
これらも、古くから使用されている「舟」と呼ばれる道具を使い、物凄い時間をかけて門で行くために、時代には向いていない技法とされてきました。
職人も伝統的な熟練の技術が必要とされ、本格的な手揉みが出来る職人は全国に十数人しかしません。

特に水染めカーフの手揉み加工は、世界的にも技術力が問われ、最も難しい加工で最も繊細なレザーと言われています。
なぜなら、鞣し技術以上に「原皮」の選別が最も困難であるからです。繊維の詰まった上質な仔牛原皮を確保することが年々難しくなってきています。

あくまでも深みのあるナチュラルな仕上げを求めたこのカーフレザーは、使い込むほどに美しい琥珀色へと変化し、身に着けることの誇りと素晴らしい歴史の味わいを醸し出します。
上質の証でもある自然のままの「揉みじわ」は豊かさを感じさせ、見た目だけでは分からない本質的な革らしさと独特な革本来の気品を楽しむことができます。

ファーロ/Faro

ブリランテ・コードバンシリーズ Brillante Cordovan Series

革の中でも最も丈夫とされているコードバン(尻部の革)レザーですが、馬の尻部分の皮下層の緻密度は牛の3倍もあります。
この繊細な繊維を壊すことなく、丹念にフルタンニンで鞣されます。
このコードバンはより強度を増すだけではなく、しなやかさを出すために、通常よりも複雑なオイルプロセスが駆使されています。

この作業に時間をかけるために滑らかで光沢の美しい上品な仕上がりとなりますが、このコードバンは更に古来伝統技法とされてきた「スネカツ」という道具で一枚一枚丁寧に表面を磨き、限りなく職人の感性に頼った方法で、極限までベースが磨かれます。

その後に、染料で「水染め」しますが、これも一枚一枚「槽」に浸された布を使い、表面に染色していきます。
重ねながら乾かし、また染色するという工程を十数回にわたり行うため物凄い時間と労力がかかります。

通常のコードバンは、工業化されていることもあり、樹脂塗料をコーティングして光沢を出すという技法が使われていますので、表面の風合いは全く違ったものになります。

時を惜しまず、熟練の粋をつくして仕上げられているこのコードバンは、革そのものの柔らかな透明感のある艶を持ち、素材の温もりを持つ、従来概念を超越した究極のコードバンです。
素材の息使いさえ感じさせるこのコードバンは、しなやかで柔らかいだけでなく、強さも保証され、時と共に趣を感じることができる第1級クラスのコードバンです。

ファーロ/Faro

ベジタブルタンニングレザーについて

一般に渋などともいいますが、木の皮や果実などから抽出したタンニンという物質によってなめす方法をベジタブルタンニングといいます。
タンニンを含んでいる植物は多数ありますが、日本で使用されているのは主に、南アフリカに産するミモザの樹皮から抽出したワットルエキス、南米のケプラ チョから抽出されたケプラチョエキス、欧州のチェストナットの木質部から抽出されたチェストナットエキス等で、これらは高純度に精製されており、これらを 溶かした液を用いてタンニン槽でなめしを行います。
なめし上がった革は、表裏断面ともにタンニンの茶褐色を呈し、ふくらんでしっかりした状態になります。
しっかりと鞣され繊維が詰まったタンニングレザーは、染色する際にも染料が十分に染み込み、美しい透明感のある革に仕上がります。
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