キルティングジャケットとは、エリザベス女王に仕えていた女官、エリオット女史がキルティング加工を施した生地を使って、女王が乗る馬用のホース・ブランケットを考案したのがそもそもの始まりである。
それまでのホース用ブランケットはジュート(黄麻)で作られており、また撥水性が悪く、保温性にも欠けていた。
彼女は1969年にラベンハム社を立ち上げ、ナイロンを使った馬用のキルティング・ブランケットを発表する。
ジュートに比べ、圧倒的に保温性と耐久性に優れていたので、瞬く間に英国中の乗馬愛好家たちの間に広まっていき、乗馬用具業界での地位を確立した。
このホース用ブランケットが余りに優れ、また値段も手頃もであった為、乗馬愛好家達から自身が着用する為のジャケットが欲しいとの要望の声が高まった。
1978年、多くの乗馬愛好家の要望で、現在のキルティングジャケットの雛型とも言うべき、「ダイヤモンド・キルティング・ジャケット」がラベンハムから発表された。
このダイヤモンド柄のキルティングジャケットは、それまでの乗馬用トレーニング・ウェアとしての実用性に、高いファッション性と高品質という概念を巧みに取り入れ、愛馬とお揃いのこのジャケットを着たジョッパーが爆発的に増えた。
現在キルティングジャケットはラベンハムだけでなく、ゴム引きコートで有名なマッキントッシュ、そのマッキントッシュの別ラインであるトラディショナルウェザーウェアなど、英国を代表するブランドによって作られている。
1993年にラベンハムが本格的に日本に初上陸して以降、キルティングジャケットは主にスーツの上から羽織るコートとして着られることが多かった。
しかし、現在ではショート丈のジャケット仕様のもの、フード付きのものなど様々なモデルが展開されている。、
また表地に使う生地もナイロンに限らず、ウールやカシミア等を用いて、英国的なテイストで仕上げて、季節感を巧みに演出している。
シルエットも現代風にアレンジされ、モダンでシャープなスタイルに仕上がっている。
郊外の乗馬の為ではなく、都会に暮らすビジネスマンたちの冬の定番アウターアイテムとして、その地位を確立している。
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