キーマンインタビュー

ロンドンハウス-サルトリアナポレターナ-の伝説はここから始まった!

バイヤーアシスタントの野原です。
アントニオ・パニコ、アンナ・マトゥオッツォなどナポリの伝説的な職人たちを生み出してきたロンドンハウス。
6月某日、その伝説的とも言えるお店で、今世界で最もそのファッションスタイルが注目されているウェルドレッサーの1人と言っても過言ではないルカ・ルビナッチさんにお会いしてきました。


エントランスのガラス張りのドアには、ロンドンハウスのロゴ「LH」と「RUBINACCI」の文字が刻印。
お店の扉がおもむろに開き、中から雑誌等で度々拝見するあの顔が。
「やあよく来たね。入りなよ。」
と優しく声を掛けてくださったのが、なんとあのルカ・ルビナッチさんご本人。
大変丁重におもてなしいただき、店内にお招きいただきます。


入口を入った目の前にあるガラス張りのテーブルの上には、ご自身が過去に掲載されたメディア関係の雑誌が数冊、美しい色合いのオリジナルネームのタッセルスリッポン、女性的な甘さと柑橘系の香りが仄かに香るパフューム(100ユーロ)、50~60年代のヴィンテージシルクを用いて作ったチーフ(65ユーロ)とスカーフ、更に夏のリゾートバカンスには欠かせないスイムウェアがまるでアートのように置いてあります。
それを1つ1つ手に取りながら、流暢な英語と人柄のよい笑顔で我々に説明してくれるルカさん。
「これは50~60年代のヴィンテージシルク生地を使ったスカーフで、男性にも女性にも使っていただけますよ。」
「これはリゾートにぴったりのスイムウェアですね。」
などなど。
ロンドンハウス
モンテナポレーオネ通りのオフィスの表札。

ロンドンハウス
門をくぐって中に入ると、お店の入口の前は吹き抜けのような造りに。

ロンドンハウス
その店内は、程良く品の良い調度品や什器が置かれたシンプルながらも大変重厚感のある雰囲気。

この隣には、夏用の洗いざらしのリネンシャツ(200ユーロ)やサマーニット、薄手の上質なコットン生地を用いたパンツ(250ユーロ)などを置いた大型の棚が。


ルカさん曰く、「常時どんなオーダーにも対応できるよう、約6万点の生地のストックがあります。生地は世界中から選りすぐりの良いものを選んでいますが、6~7割は英国のもの、その中でもやはり英国の50~60年代のヴィンテージ生地が素晴らしいですね。この生地はリバーシブルでジャケットを仕立てることも可能ですよ。」と取りだしたヴィンテージ英国生地を触らせてもらいます。
まるでカシミアのようなとても柔らかなタッチですが、打ち込みは適度にしっかりとしたコシがある本当に素晴らしい生地。
しがない私のあまりの素晴らしさにただただ声も無く感嘆するばかり。
次回訪問の際にはこの生地で、ルカさんとあーでもないこーでもないと言いつつオーダーをしたいと思います。


袖はナポリ特有のマニカカミーチャ仕様ですが、ゴージラインや前身頃のフロントカット、肩のショルダーラインを見ると、ナポリのスタイルそのまんまという感じではなく、コンサバティブなミラノに合わせて中庸なスタイルにしているみたいです。
ロンドンハウス
右奥棚にはオーダー用のシャツ生地のストックが沢山積んであります。

ロンドンハウス
店内奥へ案内していただくと、そこには壁一面にオーダー用のストック生地が山のように積んであります。

ロンドンハウス
こちらがロンドンハウスのハウススタイル。

ネクタイは一本100ユーロと、お手頃価格。


全長は152cm、大検幅9cmの王道のクラシックスタイル。


丁度リネンのネクタイが欲しかったこともあり、何かおススメのネクタイはありませんか、とルカさんに尋ねたところ、数百本はあろうかと思われるネクタイの中でリネンのものは2本だけ。


その2本うちのネイビーをベースにしたヴィンテージ生地のような風合いのものが「まさにこの色欲しかったんです!」というドンズバな色。
ロンドンハウス
更に店の奥に案内されると、そこには何百という数の美しいネクタイが。

ネクタイは一本100ユーロと、お手頃価格。
全長は152cm、大検幅9cmの王道のクラシックスタイル。
丁度リネンのネクタイが欲しかったこともあり、何かおススメのネクタイはありませんか、とルカさんに尋ねたところ、数百本はあろうかと思われるネクタイの中でリネンのものは2本だけ。
その2本うちのネイビーをベースにしたヴィンテージ生地のような風合いのものが「まさにこの色欲しかったんです!」というドンズバな色。
芯地を必要最小限まで薄くし、極上のリネン生地を「スフォデラート」と呼ばれる裏地を用いない製法で作られたこのネクタイは、その軽さからまるでひらひらと風に舞うかのよう。
素材と言い、スタイルと言い夏にぴったりのネクタイです。
即決で購入したい旨をルカさんに告げると、
「僕のオリジナルのネクタイの結び方で結んであげよう」とルカさん直々にネクタイを結んでいただけるという嬉しいおまけ付き。
ロンドンハウス
その結び方はダブルノットの結び方に似ています。

締め方の図
ダブルノットの結び方 ダブルノットの結び方
1.まず、大剣が右に来るように首にネクタイを垂らします。
2.大剣を小剣の上にクロスします。
ダブルノットの結び方 ダブルノットの結び方
3.大剣を小剣に巻きつけるように1回転させます。
4.大剣を小剣に巻きつけるように更に1回転させます。
ダブルノットの結び方 ダブルノットの結び方
5.大剣をループの下から上へ通します。
6.結び目の形を整えながら、指で押さえた1重目の内側に大剣を通し、ノットを整えながら大剣を引っ張ります。
ダブルノットの結び方
7.最後に結び目の形が崩れないように、小剣をゆっくり
と引っ張り、ディンプルを捻じ曲げて完成です。


こうすることでネクタイのディンプルにプリーツが入り、更にディンプルも美しく決まります。
ルカさん曰く、「これが最も美しいネクタイのノットの作り方」だそうです。
確かにこれほど拘りのある締め方をしていれば、首元から洋服全体が引き締まったかのような気分になります。


ネクタイの購入も済んだところで、いよいよロンドンハウスの核とも言える、お店に併設されたオーダーメイド専用の工房に向かいます。


広さは縦10メートル、横5メートルほどのこじんまりとした印象の一室。
そこにジャケットを担当していると思われるおじいさんと男性の方、更にシャツなどのカミチェリアを担当している女性の方、僅か3人ほどで工房を切り盛りされていました。
美しい調度のお店の外見とは打って変わってシンプルな内装と、職人の為の道具と設備があるべき場所にあるといった飾らない風景でした。
職人の方々は、熱心に、無言で仕事に取り組まれていました。


滅多に目にすることのできない貴重な本場ナポリ仕立ての工房を目に出来たことに言葉では言い尽くせない感謝の気持ちと、この工房で日が暮れるまで職人さんたちの手さばきを見ていたいという名残惜しさを抱えながら、工房を後にします。
僕らが来訪している最中も、オーダーメイドのアポイントが入るなど、ルカさんは忙しそうでした。
店内に置かれた数々の素晴らしい洋服にも感動しましたが、何よりも素敵だったのは、お店を切り盛りするルカ・ルビナッチさんその人。
その真摯で誠実な人柄と、落ち着いた気品あふれる立ち居振る舞いは彼が単なるウェルドレッサーでは無く、それに相応しい真の紳士であることが分かりました。
一流の服装を身に纏った人はそれに相応しい人柄や行動、気品がある人であり、こうした何気ないホスピタリティーが何十年と絶えることなく名店たり続ける所以なのでしょう。
ロンドンハウス
棚や天井にはロンドンハウスの顧客が来るのをひっそりと待つジャケットやパンツ、シャツなどが所狭しと並べられています。

ロンドンハウス
そこには淡々とした空気と時間が流れているのですが、言葉を発することは不相応であると言わんばかりの、息を呑み込んでしまう、実に濃密な空気でした。

ロンドンハウス